最適なダイニングテーブルの照明の高さと明るさの関係

快適な暮らしを彩る照明選びは、奥深いテーマですよね。 今回は、ダイニングテーブルの照明の高さについて、よくご相談いただくお話をご紹介します。

実は、光の明るさは、光源からの距離の2乗に反比例するという物理法則があります。これは、照明計画を考える上でとても大切なポイントです。

ある照明メーカーでは、ダイニングテーブルの照明として、テーブル面から60cmの高さを推奨しています。実際にそのメーカーの照明器具を設置してみると、ダイニングチェアに座った際に電球が視界に入りにくく、まぶしさを感じません。これにより、非常に居心地の良い空間が生まれるんです。

しかし、日本ではペンダントライトをそれほど低く設置する習慣があまりないため、この高さに最初は戸惑われる方も少なくありません。実際にテーブル面から60cmの高さのペンダントライトをご覧いただくと、「少し低いと感じる」というお客様の声もよく聞かれます。

もし60cmが少し低いと感じる方には、次に70cmの高さをおすすめしています。特に、日本のご家庭で鍋料理をカセットコンロで楽しまれる場合、ペンダントライトが低いと湯気が当たってしまうのが気になることも。そんな時には、少し高めに設置するのがおすすめです。

さて、ここで冒頭の光の法則を思い出してみましょう。同じ照明器具を付けるにしても、テーブル面から60cmの場合と70cmの場合とでは、明るさが変わるということです。どのくらい変わるのか、Geminiに聞いてみました。

数式を省いてお伝えすると、高さ60cmに設置した照明は、同じ照明を70cmに設置した場合と比較して、テーブル面の明るさが約1.36倍も明るくなるという結果が出ました。1.3倍というと、かなり明るさの感じ方が変わると思いませんか?

ダイニングテーブルで食事をする分には、さほど問題ないと思いますが、もし何か作業などでより明るさが必要であれば、距離を近づけるという方法も有効です。

私がダイニングテーブルのペンダントライトを選ぶ際に最も重視しているのは、「目にまぶしくないこと」です。なぜなら、心地よい空間作りにはまぶしさが大敵だからです。特に疲れている夜間に強い光を感じると、不快に思う方も多いでしょう。だからこそ、私は目に優しい環境を作り出せる照明器具という視点で選ぶようにしています。

先日、照明メーカーのショールームを訪れた時の話です。いくつかダイニングテーブルの上にペンダントライトが吊られていました。ある器具はあまり明るく見えないのに、別の器具はまぶしいほどの明るさ。そして、その中間ぐらいの白色のシェードのペンダントもありました。

一見すると、まぶしいほどのペンダントライトが最も明るく見えるかもしれません。しかし、実際にテーブル面の明るさを測ってみると、意外にも見た目ではさほど明るく感じなかった照明器具の方が明るかったのです。これは私自身も最初は分からなかったのですが、ショールームの方から説明を受けて納得しました。

見た目では、中間の明るさに見えた照明器具の方が、テーブル面が明るく見えたのは、テーブルの色が異なっていたためです。このように、周りの色や環境によって、同じ器具でも明るさの感じ方が大きく変わることがあります。また、器具の特性によっても、感じる明るさは全く異なります。これらは、カタログだけではなかなか判断できない部分だと改めて実感しました。

照明器具は一見するとどれも似ているように見えるかもしれませんが、実はその特性は様々です。また、使い方や設置位置によっても空間の印象は大きく変わります。毎年新しい照明が開発されることもあり、照明計画は奥深く、そして難しいと同時に非常に面白い分野なのです。

ご自身のダイニングに最適な照明選び、ぜひ取付高さも含めて一緒に考えてみませんか?