三鷹の天命反転住宅で、仕事をしてみた。

東京の三鷹市にある、三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラーのテレワークプランに行ってきました。この建物は、荒川修作+マドリン・ギンズが、「生命を生む環境」「死なないための家」と考えられてつくられた作品です。

ここに行こうと思ったきっかけの1つは、『Joyful 感性を磨く本』イングリッド・フェテル・リー著を読んだことです。この空間がとても魅力的に紹介されていました。そしてこの部屋に入ったときに、私自身がどう感情や感覚に影響を与えるのか、興味深々でした。いつもの部屋、環境とは違う、空間でもあり、芸術でもある作品の中で過ごすと、どんな気持ちになるかという体験をしたかったからです。

最初に建物を見つけたとき、わくわくしました。建物の色から、なんだかおもしろそうですよね。

「死なないための家」、そして In Memory of Helen Keller ~ヘレン・ケラーのために~ と謳われる理由には、さまざまな身体能力の違いを越えて、この住宅には住む人それぞれに合った使用の仕方があり、その使用法は自由であるということが言えます。3歳の子どもが大人より使いこなせる場所もあれば、70歳以上の大人にしかできない動きも生じます。私たち一人一人の身体はすべて異なっており、日々変化するものでもあります。与えられた環境・条件をあたりまえと思わずにちょっと過ごしてみるだけで、今まで不可能と思われていたことが可能になるかもしれない=天命反転が可能になる、ということでもあります。荒川修作+マドリン・ギンズは「天命反転」の践を成し遂げた人物として、ヘレン・ケラーを作品を制作する上でのモデルとしています。

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ドアから入って飛び込んでくる部屋の様子は、カラフルで、きょろきょろしてしまいました。最初に気になったのは、下の部屋。丸いんです。

寝そべってみました。この色は、お部屋によって違うようです。黄色の部屋は、卵の黄身の中にいるようで、居心地は良かったです。この部屋は黄色ですが、別のお部屋は、別の色になっているようです。その塗られている色によって、部屋の感じ方が変わりそうです。素材は、コンクリートでできているので、硬いですが、頑丈にできています。

床は、凸凹しています。凸凹だけでなく、傾斜もしています。凸凹の床は、寝転んだり座ったりするには、向いていませんが、足の裏に刺激があり歩くには、いい感じです。思わず裸足で歩きました。平ではないので、しっかり足の裏で、地面の凹凸を確認しながら歩くのは、楽しい体験でした。こんなに凸凹しているので、どんな風にお掃除されているんだろうと考えました。ほうきかしら?と思って、管理されている方に質問したら、「ここは掃除機で掃除しています」と言われていました。

居心地いいなと思ったのは、ピンク色の和室。最初ピンク色だと、病院や施設ぽくって嫌だなと思ったのですが、壁と天井、そしてカーテンまでピンクだったのですが、部屋の中に入るといい感じに落ち着きます。この部屋以外に、オレンジの部屋もあったのですが、そこもなかなかいい居心地の良さでした。色を部屋の壁に使うというのは、飽きるのではないかと、抵抗がある人も多いかと思います。この空間で過ごしてみたら、心地よいと感じる色なら、積極的に取り入れてみるのもいいと感じていただけると思います。

トイレは、扉がありません。シャワーブースの裏側に置かれています。扉が無く音が漏れるので、気になる人のために掃除機が置かれていました。この掃除機の電源をオンにしするとうるさいので、音が聞こえないという使い方をしてくださいと管理されている方に説明を受けました。

インターホンは、ななめ45度に傾いています。これを見ると、なぜか自分の頭をインターホンに合わせて傾けてしまいます。お互いに斜めを向いてインターホンに向かっている、そんな姿を想像すると、面白いですよね。

天井には、数多くの金物がついていて、フックなどがかけられるようになっています。S字フックを使えば、収納として使えます!天井にひっかけられるところが数多くあるのは、便利だなと思いました。色々な使い方が出来そうですね。写真は、S字フックを使い、みんなの持ち物を引っ掛けてみたときの写真です。

部屋には、ハンモックもあります。ブランコのようにゆらゆら揺らすと、ブランコより居心地が良く、想像以上に楽しかったです。年なのか、普段ぶらんこに乗ることが少ないからか、しばらくすると揺れに酔ってしまいましたが、部屋にハンモックがある暮らしも、楽しいと思いました。ゆらゆらブランコのようにするのであれば、それなりの広い空間が必要です。そしてできるなら、そこからの景色もいい場所に置きたいですね。

もちろん、写真を撮ったり楽しんだ後は、テレワークしました。開放感のある空間だったので、ボーっと考え事するにも良さそうでした。

まとめ

ワークスペースとしては、普段と違う環境で、刺激的なので、何か新しいことをはじめる、ディスカッションする、何か面白いことを考えるにはいい部屋だと感じました。お部屋に入ると、わくわく、楽しいという気分が高まり、しばらく写真をとったり、うろうろしてしまうので、効率がいいかは…不明ですが、気分転換できます。4人でこの部屋でテレワークしましたが、みんな思った以上にくつろいでいました。

住居としては、収納がほとんどないので、みんなどうやって暮らしているの?、ここに服置いているのかな?と考えてしましました。この賃貸を借りるには、かなりものを減らしてこないと、快適に住めなさそうです。

いつもと違う体験をする、自分の感覚を研ぎ澄ませるには、いい環境です。見学会などもありますし、泊まれることもできます。賃貸で貸出ししている部屋もあります。ぜひ機会があれば、体験してみてください。

建築概要

建物名:三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー

所在地:東京都東京都三鷹市大沢2-2-8
建築設計:荒川修作+マドリン・ギンズ、安井建築設計事務所
構 造:壁式プレキャストコンクリート造、鉄骨コンクリート 造一部鉄骨造

HP:http://www.rdloftsmitaka.com/